逮捕回避のための弁護活動

 捜査機関は,犯罪を行なったと疑うに足る相当理由を支える証拠収集は一生懸命やります。また得意です。犯人特定のためのDNA鑑定,防犯カメラ解析,携帯通話解析など時間をかけて慎重に捜査を進めます。
 一方,必要性,つまり,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれについては,犯罪の罪質自体がそれを示す,あるいは,任意出頭に応じない,前科がある,執行猶予中だといった主張にとどまることが多いです。逮捕前は被疑者に接触しないので必要性を示す証拠の収集には限界があるのです。せいぜい,逮捕後の取調べで,身上関係を調書化する際に,家庭環境や借金などを聴取し,そういった事情から必要性を疎明しようとします。
 これに対し,弁護士は被疑者の最も身近な存在です。その家族にも接触できますし,会社上司にも接触できますし,通勤状況や住居環境の事情にもアクセス可能です。これらを総合して,逮捕の必要性を否定する証拠を探し,作ります。
 例えば,本人の誓約書のみならず両親の誓約書をとったり,家庭環境に関する報告書を作成し,幼い子供がいて逃亡の動機付けがないことを示したり,被疑者が外国人ならパスポートを弁護士が預かり,海外逃亡を予防する,といった多くの疎明資料を作ることができるのです。

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